改装コンスティテューション級の撮影用模型とAMT/ERTLのキットの比較
一般に、このような模型の設計には映画会社から提供された写真や図面等を元に行われるようです。図面と言っても撮影用模型を作る為にアーティストが用意したものである場合が多く、その図面と完成した撮影用模型とに幾つかの差異が認められる事も珍しくありません。実際のところ、模型製作中でも幾つかの変更が加えられる事も珍しくなく、完成した撮影用模型の正確な図面が存在するかも疑わしい状況です。
AMT/ERTLのキットとエンタープライズの撮影用模型と比較すると細部に違いが見られますが、このキットは全体のフォルムをよく捕らえていて、そのまま組み立てても充分見ごたえのする出来です。 これから、この幾つかの細部の違いに付いて検証していきます。
円盤部上面のグリッドラインは撮影用模型と比較すると細部に違いが見られますが、これはパラマウント側から提供された図面に寄るところが大きいと思われます。キットでは姿勢制御スラスターの三角形の頂点部分が外周ラインの内側に入り込んでしまっていますが、実際の模型では外周ラインの外側で収まっています。これを修正する為には外周のグリッドラインを繋げるように彫り直し、内側にある三角形ラインの部分をパテで埋めます。また、キット全体にあるパネル状のモールドは撮影用模型には無いものなので全て削り落した方が良いでしょう。
近年になって発売されたリライアント号のキットではこの点が修正されていますので、このキットをお持ちに方は参考にされると良いでしょう。
ブリッジのドーム部分が高さがあり過ぎますので、一度切り離し薄く削ってから再度接着すると良いようです。また、ブリッジに続く下層の士官用ラウンジの大窓部分の角度が不正確な為を修正を施す必要がありますが、削り過ぎて穴を明けてしまう危険がありますのでパテやプラ板等で裏打ちをしてから作業を進めると良いでしょう。
撮影用模型と「AMT/ERTLのキット」を比べてみると、撮影用模型の形状はやや薄く横に長いように見える為若干の修正が必要です。上部のパネル部分の角度の修正とそれに伴う噴射口の修正です。インパルスデッキ自体も高さがありますので、薄く削ってやりドーナッツ状部分とそれに繋がる直方体部分が面一になるようにすると良いようです。
円盤部に6個ある船窓のパーツですが、第7デッキ左側の丸い窓の位置が違っている為これをパテで埋め正しい位置に空け直す必要があります。また、右舷後部のレクリエーションデッキの窓と左舷後部の窓が省略されているので同様に穴をあける必要があります。
キットの左舷搭乗ハッチは正確なモールドでは無い為、一度削り落してからプラペーパー等で自作すると良いでしょう。ハッチのモールドは改装型エンタープライズとA型エンタープライズとでは微妙に異なっているので注意が必要です。
円盤部下部のパネルは撮影用模型と比較すると多くの点で違いがあります。右舷前方の惑星着陸脚用パネルとそれに隣接するパネルが無いのと、左舷前方の惑星着陸脚用パネルとそれに隣接するパネルが本来あるべきところのグリッドラインの一段内側に付いることと、左舷のエアロックハッチのモールドが無いことです。また、3箇所に付いているフェイザーバンクの位置も不正確で、本来ならばグリッドラインの外側に付いていなければならないのです。下部惑星用センサーの形状も一回り小さいので作り直すか、リライアントのものを流用しても良いでしょう。
接続部の前端は前方に少し伸びているのですが、キットではこれが再現されていないのでこの部分を延長してやると良いでしょう。