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星空探険ウェブ版

スターシップコンゴウ発行「星空探険」に書き下ろした記事のウェブ版


USS_ENTERPRISE__STAR TREK_PHASE_II


コンスティテューション級宇宙船の歴史

オリジナルシリーズ - エンタープライズ


皆さん、2002年5月24日に発売されたDVD「スター・トレック - ディレクターズ・エディション」はお求めになられたでしょうか。これは、1979年に公開(日本公開は1980年)された劇場版「スター・トレック」を監督のロバート・ワイズが再び監修し、製作期間の短さから不満の残るまま公開されてしまったSFXシーン(今回の為にエンタープライズ号もCGによって復元されました)をCGによってリニューアル、英語音声、日本語吹き替え音声も新たに収録し、更にはメイキング等の特典映像をプラスして発売されたものです。

スター・トレックでは、TOS-TOS映画版-TNG-TNG映画版と続く中(その間にスピンオフで誕生したDS9、VOYは今回ちょっと脇に退いてもらいます)、主役級の宇宙船は常にエンタープライズ号でした。特に、TOS-TOS映画版のエンタープライズ号はコンスティテューション級と呼ばれいて、TOSのエンタープライズ号を2年半かけてTOS映画版のエンタープライズ号に改装した事になっています。劇中でもデッカー副長が改装と言っても新造と同様だと言っている様に、基本となる船体の形と組み合わせ方が同じだけで改装されたと言う雰囲気は微塵もありませんでした。しかし、この二つのエンタープライズ号の間にミッシングリンクとも言うべき船のデザインが二つも存在していたんです。先述のDVDの特典映像の中にその内の一つのエンタープライズ号のセットでの俳優によるテスト映像が収録されていましたが、残念ながら船の模型の外観は映ってはいませんでした。また、TOSにおいてもパイロット版とシリーズ放送版とでは模型に改造が施され、全部で3種類のディテールの異なったエンタープライズ号が確認されています。ここでは、これらのエンタープライズ号の違いを図面を使って解説して行きたいと思います。

まず最初に取り上げるのは、スター・トレックのシリーズ放送版で一番良く見かけるエンタープライズ号です。デザインはウォルター・マット・ジェフリーズ氏が担当しました。撮影用の模型は3フィートの小型の物と電飾の施された11フィートの物が存在します。小型の物は俳優が手に持ったりして宣伝用写真に使われたりしましたので、鮮明な写真が多く存在しています。一方、主に特撮に使われたサイズの大きい模型はそれ自体の写真はあまり見かけず(仮にあっても撮影風景等のもの)、ほとんどが放映時のフィルム(当時は今の様にビデオ撮影ではなく16ミリフィルムで撮影されていました)から起こされたものでした。ここでは、ディテールの細かな11フィートの模型を紹介します。



この模型はスター・トレックの撮影終了後しばらくは倉庫に保管されていましたが、その後改修されアメリカ航空宇宙博物館(NASM)に展示されていましたので御覧になられた方もいらっしゃるかと思います。1991年には、TNGのミニチュア製作で良く知られているエド・ミアレッキ氏による大改修で電飾のやり直しや失われていたパーツを新造し、当時そのまま、いや当時以上の塗装を施されて完全な姿で蘇っています。また、DS9「伝説の時空へ」では、同じくミニチュア製作で知られるグレッグ・ジーン氏によって4フィートのエンタープライズ号が新造されていますが、オリジナルの模型と混同する恐れもあるのでここで取り上げる事はしません。また、AMTのプラモデルに手を加えたものがコンステレーション号としてTOS「宇宙の大怪獣」に登場しています。

次にご紹介するのが、第一パイロット版「The Cage」で使われた3フィートのエンタープライズ号と第ニパイロット版「光るめだま」用に作られた11フィートのエンタープライズ号です。一見すると、これら二つの物に違いが認められない様に思われがちですが、良く見ると円盤部の惑星用センサーの厚みやナセル後端のディテールに違いが認められます。その他、ブリッジ部分のディテールやインパルスエンジンの噴射口の数も違います。




これらの図を見ていただくと分かるように、一つしかないと思っていたエンタープライズ号にもこんなに違いがあるのです。ここで、便宜上、第一パイロット版のエンタープライズ号を「フェイズ I」、第二パイロット版を「フェイズ I - 改装型1」、シリーズ放送版を「フェイズ I - 改装型2」とします(この呼称は正式なものではありません)。

スター・トレックが3年で放送を打ち切られた後、番組が地方局で何回も再放送されることによりスター・トレック人気は徐々に高まってきました。多くのファンによる「新しいスター・トレックが見たい。」という声はプロダクションにも届き、ついにオリジナルのキャストを声優に起用したアニメ版スター・トレックが作られましたが、放送時間帯が土曜日の子供のアニメタイムであったため残念ながら短命に終わりました。満を持して、いよいよ新しいテレビシリーズの企画が持ち上がりました。実際のところ、映画になるとか、テレビのミニシリーズになるとか、決定はコロコロと変わったそうですが、結局「スタートレック:フェイズ 2」というテレビシリーズに決定し、初代のエンタープライズ号をデザインしたマット・ジェフリーズ氏が呼び戻され、新しいエンタープライズ号のデザインが決定しました。これが、日の目を見なかったまぼろしのエンタープライズ号です。



まぼろしのエンタープライズ号

(図面はコンスティテューション号)

全体のシルエットは、劇場版「スター・トレック」のデザインと変わりありませんが、よく見るとブリッジやセンサーに初代エンタープライズ号の名残りが見えます。また、マーキングも初代のものが引き継がれていますので、こちらの方が「改装された」という実感は湧くのではないでしょうか。俳優によるセットでのカメラテストを終え撮影に入るばかりであったにもかかわらず「スタートレック:フェイズ 2」の企画が突然中止になり、映画として作り直される事が決定した時点で、エンタープライズ号の模型の製作も頓挫し、その後、小道具やミニチュアを担当していたブリック・プライス氏の製作会社に引き取られたとのことです。このエンタープライズ号は「フェイズ II」と呼ぶことにしましょう。なお、この「スタートレック:フェイズ 2」に関しては、ミリオン出版より発行されている「SFヒーロー まぼろしの冒険伝説」内で角川のDS9小説翻訳者としてもお馴染みの丹羽正之氏による詳しい解説が出ていますので興味のある方は御一読ください。(ISBN4−8130−0615−9)



劇場版 - エンタープライズ


劇場版に姿を変えたテレビシリーズ「スタートレック:フェイズ 2」は、劇場の大スクリーンで見てもに耐えられるような作りにしなければならない為、テレビ用に作られていたセットを改修し衣装も全て一新されました。当然の事ながら、エンタープライズ号の模型も一新されマット・ジェフリーズ氏のデザインエッセンスを残しつつも新しい船がリチャード・テイラー氏によって設計されました。



改装型エンタープライズ号

(図面はコンゴウ号)

これが、皆さんがよく御存じの改装型エンタープライズ号です。ところで、このデザインを見てどこかおかしいと思いませんか。そうです。ブリッジと、惑星用センサーが「フェイズ II」のエンタープライズ号そのままになっているんですよね。実はこれ、最初の特撮監督だったロバート・エイブル氏の時に使われていた模型で雑誌等の宣伝用素材等でよく見かけたものでした。一見すると、改装型エンタープライズ号なんですけど、よく見るとどこかが違う。当時、このエンタープライズ号が何なのかについて相当悩みました。

特撮撮影の遅延によりロバート・エイブル氏の特撮監督としての首を切ったパラマウント映画社は代わりの特撮監督としてダグラス・トランブル氏とジョン・ダイクストラ氏の二人を起用して既に決定している映画公開日に間に合わせました。ダグラス・トランブル氏が参加した時点でエンタープライズ号の模型にさらなる改修が施され、映画でおなじみのあの美しいエンタープライズ号が誕生した訳です。今までの模型では巨大感が出ないと考えていたトランブル氏は、より細かなパーツを取り付けたり、小さなフォントを使用したりして305メートルの船を作り上げました。

NCC−1701のエンタープライズ号は劇場版3作目「スター・トレック3:ミスター・スポックを探せ!」で自爆してしまいますが、次回作で船籍番号がNCC−1701−Aとなって蘇りました。単に番号を書き換えただけではなく、一部のフォントやディテール、塗装にも違いが認められます。また、「フェイズ I」の第二船体腹部にあったパネル(○凸□□)が復活しています。エイブル氏のエンタープライズ号を「フェイズ III」、トランブル氏の改修型を「フェイズ III - 改装型1」、NCC−1701−Aを「フェイズ III - 改装型2」とします。




その他のエンタープライズ


以下は番外編です。

日の目を見なかった「フェイズ II」のエンタープライズ号はその後、ブリック・プライス氏の所属する会社でレンタル用の模型とするために完成にこぎつけました。ディテールは「フェイズ III - 改装型1」によく似ていますが不自然さが残り中途半端な感があります。これを「フェイズ II - 改装型」と呼ぶ事にします。

また、TNG「メンサー星人の罠」で、ジョーディがホロデッキ内に再現したユートピア・プラニシア造船所内のシーンで劇場版エンタープライズ号のプラモデルのパーツを組み換えた銀色の卓上モデルがちらっと出てきます。TNGに登場するUSSスターゲイザーの様に円盤部の周囲にシャトル・ベイが並び、ナセルが横向きになっているものです。これは「フェイズ IV」と呼ぶ事にでもしましょう。



TNG版エンタープライズ号

(図面はスプリングフィールド号)

ここまで見てきた様に、同じコンスティテューション級といってもテレビ版、映画版といった違いの他に様々なものが存在していた事が分かっていただけたかと思います。特に、テレビシリーズと映画版の間にあった「まぼろしのフェイズ II エンタープライズ」に関しては現在でもあまり資料が出回っていないだけあって貴重だと思います。さらに細かく見ていくと、「宇宙の大怪獣」に登場したコンステレーション号も一つの異形船と見たり、DVD「スター・トレック - ディレクターズ・エディション」のCG製エンタープライズと実物模型との微妙な違いを考慮に入れたりすることも出来ます。最後に、3種類のエンタープライズ号の比較図を載せておきます。



参考資料


Ships of the Star Fleet _ Volume One / Revised (1991, Mastercom Data Center)

Star Trek Phase II : The Lost Series (1997, Pocket Books)

SFヒーロー まぼろしの冒険伝説(2002, ミリオン出版)



あとがき


コンスティテューション級宇宙船の歴史は 2004年1月31日スターシップ・コンゴウ発行の「星空探険 No.30」のために書き下ろしたものです。アーカイブス収録にあたって印刷用に作った図面をウェブ用に作り直しました。オリジナルのテキストは 2002年7月28日最終更新のものです。



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